「保存の技術」と「技術の保存」


DOCOMOMO Japanで行っているオンラインの討論会シリーズ、第7回が以下のとおり2020年12月11日(金)に行われました。第7回のウェブ討論会では「技術」がテーマでした。モダニズム建築の保存再生において、意匠の保存と現代的な性能や機能を両立させる手法、モダニズム建築保存に特有の技術的課題、保存再生の近年の施工技術など、現代の技術によってモダニズム建築をどのように保存するかを取り上げました。また、保存改修や調査研究を通して知ることができるモダニズム建築の技術や現代建築との差異を通して、モダニズム建築の当時の技術をどのように考え保存するか、という2つの相補的な側面に焦点を当てて議論が行われました。

 平井氏からは、複合的な解決手法や、弱い技術の柔らかな対応という考え方が提示されました。中嶋氏からは、モダニズム建築の技術の特徴として、人手間が安く職人技術的であること、またその保存における技術の伝承の課題があげられました。加藤氏からは、モダニズム建築の産業技術について、本式への過渡期や半工業化など、均質ではないモダニズムの表情について報告されました。モダニズム建築の技術とその保存は、いかに修理するかといった観点に留まらず、現代建築との技術の違いを把握し評価した上で、計画技術を含めた議論が必要であると理解しました。


Web討論会の動画が下記のYou tubeから視聴できます。

https://youtu.be/7m89cmD8IDc


第7回テーマ:保存のテクトニクス 「保存の技術」と「技術の保存」

日時:12月11日(金)

モデレーター:熊谷亮平(東京理科大学)

パネラー:平井充(メグロ建築研究所)、中嶋徹(竹中工務店)、加藤雅久(居住技術研究所)

KUMAGAI LAB

東京理科大学工学部建築学科 熊谷研究室