『クリティカル・ワード 現代建築』の出版

ご縁があり部分的に執筆を担当させて頂いた書籍「クリティカル・ワード 現代建築」が出版されました。届いた本を自分のところは読み飛ばしつつ通して読んでいると、各著者による個々のワードの簡潔な解説から自分の知識や理解を補強でき、また通史の読み物としても面白いです。

技術系ワードを中心に担当しましたが、これまで不勉強であまりきちんと考えてこなかったお題も頂いたので、自分の思考を広げる機会となりました。「か・かた・かたち」などは特に全体に通底する広がりを持ったワードでした。また、例えば「モダニズム建築」を500字程度で説明するというのも、あらためて難しさを感じましたが、それによって見えてくるものもありました。

この本の各ワードは基本的なところと編者の攻めたワードが混ざっているところも特徴です(執筆に悩んでこのワードのセレクトはどういった趣旨ですか、と聞いたこともありました)。論考も書く中で、これまで教わったり自ら学んでバラバラに理解していたものが、関連した時代の流れとして整理することができたことも収穫でした。

今年度の大学院の授業でも部分的に執筆内容に関連づけて講義していたのですが、学生からの反応もよかったので大学院生などにちょうどいいかもしれません。


クリティカル・ワード 現代建築 社会を映し出す建築の100年史

建築は、複雑な社会との応答関係のなかで生まれる。1920年代から2010年代までの100年に起きた建築にまつわる出来事を厳選し、コンパクトに収録。現代建築へ至る100年史を10年ごとに区切り、各時代の建築を理解するための重要なキーワードを、すべて書き下ろしのテキストで解説します。都市、技術、政治、文化、メディアという5つの分野を専門とする、5人の著者がキーワードを選定し執筆。また各著者による、100年を串刺しにした巻頭論文も収録しました。235に渡るキーワードは、建築だけでなく関連分野にも踏み込んでいるため、人文や社会、芸術などそれぞれの学問分野に関心のある方にもおすすめの一冊です。建築関係者はもちろん、学生や社会人、近現代建築ファンにとっても必携の、充実のキーワード集の誕生です!ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー◆シリーズ[クリティカル・ワード]現代社会や文化および芸術に関わるさまざまな領域を、[重要用語]から読み解き学ぶことを目指したコンパクトな入門シリーズです。基本的かつ重要な事項や人物、思想と理論を網羅的に取り上げ、歴史的な文脈と現在的な論点を整理します。もっと深く理解し、もっと面白く学ぶために必要な基礎知識を養い、自分の力で論じ言葉にしていくためのヒントを読者に提供する新しい入門書です。

動く出版社 フィルムアート社

KUMAGAI LAB

東京理科大学工学部建築学科 熊谷研究室