「白の家」の矩計図

 毎年、構法演習として軸組模型の制作をグループワークでやっているのですが、今年はコロナ禍ということで篠原一男の白の家の矩計図をコピーする個人課題としました。あわせて構法的な特徴をレポートしてもらうのですが、今年は学生からの疑問点などをもとに、解説動画をつくって講義回としました。

 たとえば、広間と寝室はなぜ床レベルが違うのかという疑問が多かったのですが、また授業では2階の根太せいは一般に1階より高いと教わったが白の家ではあまり変わらないとか、トレースしただけあって学生は細かいところをよく観察していて、解説を考える中でこちらも勉強になります。

 2階の根太せいが低いのは床梁のピッチが狭い(1m)のでせいが低くてもよいためで、ここではその根太に1階天井の野縁を直打ちしていて床梁は隠さず露出している。そこで1階の天井高を見ると2250mmしかないので、天井高を確保するために高さを切り詰めて、さらにそれでも足りないので1階床を下げたのではないかと思いました。天井を上げるという解決法も一般的にはあり得るので、そう考えると、10m四方の正方形である白の家では、高さを含めた外形が先に決められて(あるいは優先されて)設計が進められたのではないかと推察しました。

 この部分の考察が合っているのかは分かりませんが、コメントを見ると解説動画は学生が理解を深めるのに役立ったようでよかったです。


KUMAGAI LAB

東京理科大学工学部建築学科 熊谷研究室